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教員名 : 深谷 訓子
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授業科目名
芸術文化論
開講年次
2年
開講年度学期
2026年度前期
単位数
2単位
科目ナンバリング
J-IC-201L/A-IC-201L
担当教員名
深谷 訓子
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
西洋美術史1・2
次に履修が望まれる科目
比較芸術論ほか
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
西洋美術のなかで、オリエントやアジアといったヨーロッパにとっての他者を登場させる、あるいは他地域の美術の特徴を取り入れた作品に注目し、時代を追ってその展開を見ていきます。通史ではなく、特定の時代・地域の現象を多角的に深く知ることにより、視覚表現に関わりうる諸要素や、文化を支える諸条件についての理解を深めます。 (受講生の到達目標) 到達目標1:西洋美術の中で東洋の文物や美術がどう咀嚼されてきたのか、その展開を自分の言葉で説明できるようになる。 到達目標2:造形芸術作品の特質を、「記述」という手続きを通して言語化する能力を高める。 到達目標3:異文化の受容に際して作用する様々な社会的・経済的・文化的要素や人間の心理的特性について、自分の考えをより具体化する。 【授業の概要】
テーマ:西洋美術における東洋表象
よく知られた18世紀のシノワズリや19世紀のジャポニスム以外にも、西洋美術では、ヨーロッパにとって外部・他者であった「東洋」の表象や、他地域の影響を受けた制作が行われてきました。この授業では、毎回スライドで該当する作例を映写しながら、そのあり方や変遷、時代背景や政治的思惑との関連性について、時代順に概観していきます。 【授業計画と授業の方法】
授業計画
第1回 イントロダクション (講義形式) 西洋美術における東洋表象というグローバルな視点の問題に入る前の導入として、ヨーロッパ美術内での地域間交流の状況を紹介する。そこから、異文化の表象というテーマを扱う際に関わってくる地理的・文化的なステレオタイプについても論を進める。 第2回 トルコの表象 (講義形式) ヨーロッパにとって、最も身近で強力な他者だったトルコは、西洋美術のなかにもいち早く取り入れられたモチーフだった。また、画家たちのなかには実際にトルコを訪れた者も存在した。こうしたトルコ表象の例を15、16世紀を中心に紹介する。 第3回 大航海時代以降のヨーロッパと「東洋」(講義形式) 大航海時代以降、ヨーロッパにとって世界がどう拡がり、如何なる通商のルートが開かれ、どのような物品や情報がもたらされたかを確認する。 第4回 アジアへの布教 イエズス会士が伝えた東洋「日本」のイメージ(講義形式) イエズス会の美術を繙き、彼らがアジアの様子を伝えた作品、さらには日本でイエズス会の工房周辺で生み出された作品などを概観する。 第5回 オランダ17世紀絵画にみる東洋表象(1)(講義形式) 予備的学習として、オランダの歴史的背景を確認すると同時に、当時のヨーロッパの国際的な情勢、さらにオランダ東インド会社の貿易について基本的な事項を学ぶ。 第6回 オランダ17世紀絵画にみる東洋表象(2)(講義形式) 漆や染織品など、陶磁器以外の工芸品にも話題を広げ、漆を模した技法や黒檀による代用、あるいは絵画に描かれた「小袖」「日本のガウン」などについて、事例を紹介し、異文化からもたらされた物品の魅力とその応用吸収について考える。 第7回 オランダ17世紀絵画にみる東洋表象(3) (講義形式) オランダ東インドの商館員たちがもたらした、日本の情報について、旅行記等を手掛かりに詳細に検討し、視覚情報におけるエキゾチシズム(異国趣味)の働き方について考える材料とする。 第8回 17世紀のフランドル絵画にみる東洋表象(講義形式) ヤン・ファン・ケッセルとエラスムス・クウェリヌス2世が制作した《世界の四地方》を例に、グローバル・アート・ヒストリーの進展と搾取的な過去への反省という今日的な問題について、具体的な研究動向や作品などを手掛かりに考察する。 第9回 ロココ時代のシノワズリ(講義形式) ヨーロッパ各地での陶磁器愛好、さらにヴァトーやブーシェの絵画をはじめ、18世紀フランスでのシノワズリについて概観する。 第10回 19世紀のオリエンタリズム(講義形式) グロ、アングル、ドラクロワなど19世紀に活躍した画家たちの作品にみられるオリエントのモチーフとその扱い方から、中近東に向けられた政治的・文化的な視線のありようについて考える。 第11回 日本美術趣味の始まり(講義形式) 西洋と日本美術の本格的な出会いと、鎖国期(ペリー来航前まで)の作品の伝播について具体的な状況を確認する。 第12回 欧米に渡った日本美術(講義形式) 日本美術のヨーロッパへの移入について、万博や買い付けの本格化という観点から概観し、かつ、それらと近いところで活動していた作家たちについても確認する。 第13回 ジャポニスム(1)(講義形式) 日本美術から学ばれた造形原理のうち、構図と素描という2つの要素について、北斎漫画や浮世絵の受容を、アンソール、マネ、リヴィエールらの具体的な作例に即して分析、考察する。 第14回 ジャポニスム(2)(講義形式) 日本美術から学ばれた造形原理のうち、色彩と装飾性という2つの要素について、ナビ派の屏風など、具体的な作例を分析しながら考察する。 第15回 総括 異文化受容(講義形式) これまでの事例を振り返り、異文化表象が行われる際に作用している様々な力や関心について再考察する。また今日の日本における異文化表象のあり方や問題点、今後の可能性についても受講者とともに考える。 【授業の方法】 作品画像等をパワーポイントで映写しながら、配付するプリントに沿って内容を講じていきます。また、作品の造形的特徴について各自に分析する作業を行ってもらいます。 テキスト・参考書
授業中にプリントを配付するほか、教材は全てオンラインで提供します。
授業時間外の学修
事前学修:西洋美術史の全般的な通史の把握(随時確認・授業内容の深い理解のための前提条件)
事前学修:シノワズリ、ジャポニスムなどの言葉で検索して見つかる作品の鑑賞 事後学修:授業内で取り上げた作品、もしくは関連作品の主体的な鑑賞、分析、記述 事後学修:授業内で取り上げた主題に関する周辺知識の習得、同主題作品などの検索と鑑賞を通じた比較 成績評価の方法と基準
【成績評価の方法】
授業ごとの小課題(60%)と最終レポート(40%) 【成績評価の基準】 ・到達目標1:西洋美術における東洋表象の具体的事例や展開を把握しており、自分の言葉で説明できるか。 ・到達目標2:造形芸術作品の特質を、的確に記述できるかどうか。 ・到達目標3:異文化を受容する際に働く様々な要素に関して、具体例に即して考え、また自身の考えを述べることができるか。 備 考
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容
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