シラバス情報

授業科目名
日本歴史の流れ
開講年次
1年
開講年度学期
2025年度後期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
G-SS-112L
担当教員名
森本 幾子
担当形態
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
世界歴史の流れ、経済史、日本経済史
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
本講義では,男女その他さまざまな人々の社会的関係によって歴史が培われてきたことを前提に,とりわけ社会における女性の役割に着目しながら日本の歴史を読み直すことを目的とする。また,それぞれの時代と現代社会を比較することによって,ジェンダー規範形成過程とその要因に対する,より発展的な歴史的考察力を養うことも目的としている。

(受講生の到達目標)
到達目標1:一般的な時代区分による時代の変遷と女性の役割の変化について説明できるようになること。
到達目標2:ジェンダー規範や男女の役割分担が明確になる歴史的要因について説明できるようになること。
到達目標3:ジェンダー規範の形成過程と現代社会へのつながりについて説明できるようになること。
【授業の概要】
本講義ではおもに,女性の役割に焦点を当てながら日本の歴史を読み直す。これまでの歴史教科書の中では,政治・経済・文化の叙述は男性中心に描かれることが多く,女性に関する記述は決して多いとは言えない。しかし、憲法をはじめとする法制度の変化にともない,男女を取り巻く環境は次第に変化しつつある。とりわけ80年代のウーマン・リブ運動を経て,社会の中で女性の役割が重要視されるようになって以降,「女性史」「ジェンダー史」が登場し,現在においては歴史学研究の主要なテーマの一つとなっている。また近年では,多様な性の在り方が議論されるようになってきた。本講義ではまず,「女性史」「ジェンダー史」登場の社会的背景を紹介し,さらにそれぞれの時代における女性の役割を学ぶことによって,現在につながるジェンダー規範の形成過程について理解する。
【授業計画と授業の方法】
第1回 ガイダンス
    「性」の在り方から歴史を見直す
第2回  縄文人の男女観 
    土偶・石棒にみる縄文人の世界観 出産の神聖化
第3回 王権と女性首長の特徴
    女王卑弥呼の独身性と各地の女性首長たちの存在
第4回 『古事記』を読む①
    神話のなかの女性の役割
第5回 『古事記』を読む②
    律令国家と女性天皇,持統天皇の役割
第6回 平安貴族のジェンダー 
    出産時の祝い行事にみるジェンダー規範の形成
第7回 中世女性の権力と北条政子 
    女性に関する記録からみた中世社会 時代によって変わる北条政子の評価
第8回 戦国乱世と女性たち 
    戦争と女性の地位の関係
第9回 江戸幕府と大奥の役割
    将軍の「再生産」 大奥と幕府政治の関係 憧れの就職先
第10回 江戸時代の手習い本とジェンダー規範
    「女大学絵抄」にみるジェンダー規範の形成 「家」意識の浸透と女性
第11回 江戸時代の異性装者(クロスドレッサー・トランスヴェスタイト)
    史料に残された異性装者 江戸時代のセクシャルマイノリティ
第12回 遊廓に生きた女性たち
    遊女の労働契約と労働環境 貧困と身売り
第13回 近代日本の女性と政治参加の要求
    婦人参政権の要求 産業の発展と女性労働者 軍国主義と女性の役割
第14回 戦後日本の男女平等
    日本国憲法第24条成立とベアテ・シロタ・ゴードン草案 教育における男女平等
第15回 性のあり方から日本の歴史を振り返る(講義の総括)
    ジェンダー規範の形成から歴史をみる


(授業の方法)
講義は、15回すべて資料を用いる。資料は講義の前に,teamsおよびポータルサイトにアップロードするので,必要があれば,講義が開始される前までに各自印刷をしておくこと。
講義では必要事項を板書するので,配布プリントに各自記入すること。板書を写真撮影することは禁止している。講義回によっては課題を出題し,それに対する回答を求めることがある。回答のフィードバックは,次回講義時のはじめに行う。


テキスト・参考書
(参考書)総合女性史研究会編『時代を生きた女たち 新・日本女性通史』(朝日新聞出版、2010年)ほか
*講義で適宜紹介します。
授業時間外の学修
(事前学修)
前回のプリント(必要事項を記入し各自で作成したもの)をよく読み,次回の講義に参加すること。歴史的展開を重視する講義のため,必ず読んでおくこと。
(事後学修)
講義終了後,その回に学んだことに関する課題の提出を求めることがある。
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
後期認定試験(100%)ただし、講義中の課題コメントシートを6割以上提出していること。


(成績評価の基準)
到達目標1:一般的な時代区分による時代の特徴や変遷と女性の役割の変化について正しく答えることができる。
到達目標2:ジェンダー規範や男女の役割分担が明確になる歴史的要因について正しく答えることができる。
到達目標3:ジェンダー規範の形成過程と現代社会へのつながりについて正しく答えることができる。
備  考
1.毎回配布資料とパワーポイントを使用し,全回「講義」形式で進める。
2.講義プリントをよく読み,予習・復習(各回予習・復習とも30分程度)を行うこと。
3.板書や画面内容の写真撮影は禁止している。必ず自筆すること。
担当教員の実務経験の有無
×
実務経験の具体的内容