シラバス情報

授業科目名
日本国憲法
開講年次
1年
開講年度学期
2025年度後期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
G-SS-102L
担当教員名
吉良 悟
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
なし
次に履修が望まれる科目
なし
【授業の目的と到達目標】
 憲法とは、国家の基本法です。政治体制、国家と宗教の関係、国民に保障された権利などが規定されています。報道などで、人権問題、憲法裁判、憲法改正といった憲法に関連するテーマに接することは少なくないですが、憲法の各規定を考察する機会はそれほど多くはないです。この授業では、日本国憲法の各規定及び憲法判例について学修することで、受講生が身の回りの憲法問題を考究し、自身の見解を構築できるようになることを目的とします。
 到達目標は次の3つです。①日本国憲法の成立過程及び基本原理を理解し、各規定の解釈に対して自らの立場を確立すること②憲法判例の法的論点を説明できるようになること、③憲法問題を分析できるようになることです。
【授業の概要】
 憲法とは、そもそも何かという論点から授業を始めます。その後、大日本帝国憲法から、いかなる過程を経て現在の日本国憲法が成立したのかを概観します。日本国憲法の各論点としては、第1条に規定されている天皇を巡る問題、第9条の平和主義と自衛隊、自衛権論といった論争的なテーマから扱います。こうした論点は国際社会も高い関心を有しています。そのため、授業で修得した知識は、国内問題だけではなく、国際問題を分析する際にも有用です。そして、第5回〜第9回では人権分野を、第10回〜第14回では統治分野の基本論点を講義します。この授業では、法にはこれまで関心がなかったという方も親しめるように、身近な事例や具体例を多く用います。なお、授業内では、参加者に対して意見を求めることがあります。
【授業計画と授業の方法】
第  1回 憲法とは何か
第  2回 日本国憲法成立史
第  3回 天皇
第  4回 平和主義と自衛権
第  5回 法の下の平等
第  6回 信教の自由と政教分離
第  7回 表現の自由
第  8回 学問の自由・教育の自由
第  9回 経済的自由
第10回 国会
第11回 内閣
第12回 裁判所
第13回 財政
第14回 地方自治
第15回 憲法改正
テキスト・参考書
テキストの指定はしないです。授業では、レジュメを配布します。また、欠席者用にTeamsにレジュメを掲載します。
授業時間外の学修
(事前学修)
第1回 
 日本国憲法について、書籍やインターネットを利用して自分で検索をしておいてください。

第2回 
 高校までに使用していた日本史の教科書が手元にあれば、大日本帝国憲法成立までの過程や日本の敗戦、GHQによる占領、日本国憲法の成立の箇所を読んでおいてください。手元になければ、これらについてインターネットなどを活用して事前に目を通しておいてください。

第3回 
 女性天皇・女系天皇に関する論争について事前に調べておいてください。オンラインで入手可能な岩波祐子「『安定的な皇位継承』をめぐる経緯—我が国と外国王室の実例—」『立法と調査』第415号(2019年9月)143-169頁を推奨します。

第4回 
 集団的自衛権について、事前に調べておいてください。オンラインで入手可能な鈴木尊紘「憲法第9条と集団的自衛権—国会答弁から集団的自衛権解釈の変遷を見る—」『レファレンス』平成23年11月号(2011年11月)31-47頁を推奨します。

第5回 
 皆さんが想定する不合理な差別について考えておいてください。また、オンラインで入手可能な衆議院憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会の平成16年2月19日の参考資料である「(衆憲資第38号)『法の下の平等(平等原則に関する重要問題〜1票の格差の問題、非嫡出子相続分等企業と人権に関する議論を含む)』に関する基礎的資料」に目を通しておいてください。

第6回 
 宗教に関する問題について、事前に調べておいてください。オンラインで入手可能な大湖彬史「憲法における政教分離原則—日本・米国・フランス—」『調査と情報—ISSUE BRIEF—』第1258号(2024年2月)1-13頁を推奨します。

第7回 
 皆さんが考える表現の自由とはどのようなものか、また、表現の自由が制限される場合はどのような場合があるかを考えておいてください。加えて、オンラインで入手可能な衆議院憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会の平成 16年4月1日の参考資料である「(衆憲資第46号)『公共の福祉(特に、表現の自由や学問の自由との調整)』に関する基礎的資料」の1-49頁に目を通しておいてください。

第8回 
 オンラインで入手可能な衆議院憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会の平成16 年4月1日の参考資料である「(衆憲資第46号)『公共の福祉(特に、表現の自由や学問の自由との調整)』に関する基礎的資料」の60-70頁に目を通しておいてください。

第9回 
 オンラインで入手可能な衆議院憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会の平成16年5月20日の参考資料である「(衆憲資第52号)『経済的・社会的・文化的自由(特に、職業選択の自由(22条)・財産権(29条))』に関する基礎的資料」に目を通しておいてください。

第10回 
 オンラインで入手可能な大山尚「国の統治機構に関する諸課題—議会制度をめぐる論議—」『立法と調査』第373号(2016年1月)146-158頁に目を通しておいてください。

第11回  
 オンラインで入手可能な笹口裕二「議院内閣制における内閣の在り方—我が国の統治機構の在り方を考える視座—」『立法と調査』348号(2014年1月)165-173頁に目を通しておいてください。

第12回  
 オンラインで入手可能な衆議院憲法審査会事務局「(衆憲資第81号)憲法に関する主な論点(第6章 司法)に関する参考資料」(平成25年4月)に目を通しておいてください。

第13回  
 オンラインで入手可能な衆議院憲法審査会事務局「(衆憲資第82号)憲法に関する主な論点(第7章 財政)に関する参考資料」(平成25年4月)に目を通しておいてください。

第14回 
 オンラインで入手可能な衆議院憲法審査会事務局「(衆憲資第83号)憲法に関する主な論点(第8章 地方自治)に関する参考資料」(平成25年4月)に目を通しておいてください。

第15回    
 オンラインで入手可能な衆議院憲法審査会事務局「(衆憲資第84号)憲法に関する主な論点(第9章 改正)に関する参考資料」(平成25年5月)に目を通しておいてください。

(事後学修)
 配布したレジュメ、授業中に筆記したノート等を読み返してください。また、より深く学びたい方は、授業内で教員が紹介した図書も読んでみてください。
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
①小レポート30%(提出期限は第8回目授業日の23:59まで)
②期末テスト70%(空欄補充問題50%、論述問題20%)

(評価基準)
①日本国憲法の成立過程及び基本原理を理解していること。
②憲法判例の法的論点を説明できること。
③憲法問題を分析できること。
備  考
授業等に関する質問は、Teamsのチャットより受付けます。お気軽にご連絡ください。
担当教員の実務経験の有無
なし
実務経験の具体的内容