シラバス情報

授業科目名
生命倫理
開講年次
1年
開講年度学期
2025年度後期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
G-HU-102L
担当教員名
島田 喜行
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
授業の目的:
 生命と医療をめぐる諸問題について、その論点を整理しつつ、容易に答えを見出すことができない事象に分け入り、他者と対話(協働)しつつ、思索を重ねることから自分なりの「より善い生き方」を探究する。

到達目標:
目標1:「いのち」をめぐる倫理的問題と向き合うために必要な倫理学の基本的な知識や概念について、自分の言葉で説明することができる。
目標2:「いのち」をめぐる諸問題をテーマとして、主体的かつ協働的に探究しつつ、適切な仕方で学術的レポートを作成することができる。
目標3:「いのち」の大切さを理解し、より善い生の実現を目指して努力しようとする倫理的態度とはどのようなものか、という問いについて、自分の言葉で論じることができる。

【注意】 
・ これらの到達目標は、漫然と講義を聴き、指示されるままに課題に取り組むというような受講態度によって到達されるものではない。受講生が本講義を手引きにして、自分にとって必要な学び(勉強と研究)を能動的に行うことによって初めて到達されるものである、ということを付記しておく。
【授業の概要】
 高度に発達した自然科学とその応用である技術のおかげで、私たちは日々、快適な生活を送ることができる。私たちが、自然科学技術の力をもっとも明確な形で感じ取る場所の一つは、「いのち(生と死)」にかかわる医療の領域であろう。ここで使用される生命技術は、「生きたい」あるいは「死にたくない」という私たちの切実な思いに——もちろん、そのすべてにではないのだが——さまざまな仕方で応えてくれる。しかし、生命技術は、私たちに多くの恩恵を与えてくれるだけではない。生命技術は、「いのち」にかかわるさまざまな倫理的問題も引き起こす。臓器移植、不妊治療、安楽死、ケア、自己決定といった問題である。私たちは、こうした「いのち」にかかわる倫理的問題とどのように向き合えばよいのだろうか。
 本講義では、受講生とともに、いくつかの生命倫理学の重要問題にじっくりと取り組み、当該の問題に潜んでいる論点を明らかにすることから、「いのち」を大切にする生き方について考察していく。
【授業計画と授業の方法】
授業計画:
第1回 道徳と倫理−−生命倫理学とは−− (ガイダンス・講義)
第2回 私たちのいのちと科学技術との関係 (講義・全体での討論)
第3回 自然科学技術の根底に潜む思想 (講義・全体での討論・小レポートの作成)
第4回 現代医療の功罪 (講義・全体での討論)
第5回 臓器移植をめぐる問題① (講義)
第6回 臓器移植をめぐる問題② (グループでの討論・小レポートの作成)
第7回 不妊治療をめぐる問題 (講義・全体での討論・小レポートの作成)
第8回 人工妊娠中絶をめぐる問題① (講義)
第9回 人工妊娠中絶をめぐる問題② (グループでの討論・小レポートの作成)
第10回 超高齢社会をめぐる問題 (講義・全体での討論・中間レポートの提出)
第11回 安楽死と人生の質をめぐる問題 (講義・小レポートの作成)
第12回 ケアの思想 (講義・全体での討論)
第13回 自己決定という思想 (講義・グループでの討論)
第14回 現代医療と生き方をめぐる問題 (講義・小レポートの作成)  
第15回 全体の振り返り−−より善い生き方とは−− (講義・全体での討論)

(授業の方法)
授業の方法については、各回の後ろに付した( )内の記述を参照のこと。
各回、講義が中心になるが、受講生は、講義をもとに行われるグループ、または全体での討論に積極的に参加すること。
また、小レポートはすべて成績評価の対象になるので、しっかりと作成すること。
テキスト・参考書
テキスト:とくに使用しない

参考書:工藤和男『いのちとすまいの倫理学 改訂版』晃洋書房、2010年
     これ以外の参考書・関連文献については、授業中に適宜、紹介する。
授業時間外の学修
事前学習:
 授業計画にしたがって、各回の授業に参加する前に、授業内容に関連する事柄について、主体的に調べる予習に取り組むこと。
事後学習:
 各回、授業内容について振り返り、論点や概念等、大事な事柄については、自分の言葉でまとめておくこと(ノートの整理を行うこと)。また、図書館やインターネット等を積極的に利用して、自らに必要な関連文献を探して読み、中間レポートの作成を視野に入れつつ、自分なりに学びを深めること。
成績評価の方法と基準
成績評価の方法:
 期末試験(筆記試験)40%、小レポート30%、中間レポート(註を含め2、400字程度)30%
成績評価の基準:
 到達目標1に関して、期末試験(筆記試験)の問題に対して、正解していること。
 到達目標3に関して、期末試験(筆記試験)の問題に対して、自分なりの考察がなされていること。
 到達目標2に関して、中間レポートが適切な仕方で作成されていること。
 到達目標1及び3に関して、講義内容を踏まえつつ、自分の言葉で小レポートが作成されていること。

【注意】
・ 期末試験(筆記試験)及び小レポートについては、内容に関して、中間レポートについては、内容と形式に関して一定のレベルを求めるのでしっかりと取り組むこと。
・ 倫理学を学ぶ者に相応しい態度で講義に参加すること。
・ 小レポートの作成について、授業の進度に応じて、実施する回を変更することがある。
備  考
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容