![]() 教員名 : 森本 幾子
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授業科目名
日本経済史
開講年次
2年
開講年度学期
2025年度後期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
E-EC-213L
担当教員名
森本 幾子
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
経済史
日本経済論 次に履修が望まれる科目
地域経済史
日本経済論 【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
本講義の目的は,日本近世期(17世紀から19世紀後期)の経済動向の変化と,それに対応した経済政策について学ぶことである。近世期の国内経済の発展がもたらした生産高,人口,耕地面積の上昇をふまえ,変化する時代に対応した経済諸政策が,現在の貨幣観や金融取引の基盤を形成したことを理解するとともに,外交問題・災害・飢饉などへの対応など現在につながる諸問題についても学修する。最終的には,本講義を通して,現代の経済的課題に対する歴史的考察力を養うことを目的とする。 (受講生の到達目標) 到達目標1:日本近世の経済的特質(石高制・兵農分離・「鎖国」(四つの口))について説明できるようになること。 到達目標2:日本近世における経済動向の変化に対応した経済政策の実施について説明できるようになること。 到達目標3:外圧の流れと,災害・飢饉など社会的危機に対する対応について説明できるようになること。 【授業の概要】
本講義では,おもに,日本近世の経済的特質(石高制(税制としての米納年貢制)・兵農分離(身分制社会)・「鎖国」(四つの口))と、経済動向の変化に対応した経済的諸政策について,最新の研究をふまえながら学ぶ。また,近年,少子高齢化にともなって著しく研究が進展した「歴史人口学」の成果をふまえ,人口と経済の歴史的変遷についても紹介する。さらに,現在の国際問題や災害問題などと密接につながる外圧・災害・飢饉の発生と幕藩権力(公権力)や社会の対応など,日本社会が抱える諸問題について歴史的に考察する。
【授業計画と授業の方法】
第1回 ガイダンス −経済指標からみた日本近世社会−
第2回 幕藩体制と基本的諸制度 石高制(税制)・兵農分離・「鎖国」政策と「四つの口」による外交 第3回 17世紀〜19世紀全体の経済動向 石高と実収石高の上昇,増加する耕地面積と人口,幕府直轄地の特徴 第4回 日本近世の貨幣制度 金・銀・銅(三貨制度)と藩札,日本の金鉱フロンティアの特徴 第5回 元禄の貨幣改鋳とその意義① 金鉱フロンティアの枯渇,佐渡金山と地域経済,荻原重秀による諸政策 第6回 元禄の貨幣改鋳とその意義② 「貨幣は「国家」がつくるもの」,貨幣観の転換(実質貨幣から名目貨幣へ) 第7回 都市商人の成長と経営の特徴 商人資本の成長,三井家と越後屋呉服店,住友家の銅山経営 第8回 徳川吉宗による諸政策 日本で初めての人口調査開始,「歴史人口学」紹介 第9回 将軍徳川吉宗による諸改革 米価の下落とその他商品価格の上昇,米価引き上げ政策と米切手市場の発展 第10回 老中田沼意次の経済政策 商業の発展と株仲間政策,銀貨の計数貨幣化(南鐐二朱銀の発行),長崎貿易の振興策 第11回 ロシアの南下と国境意識の芽生え 漂流民外交とその変化,ロシアと北方地域、国防意識の芽生え 第12回 災害・飢饉の発生とその対応 古文書・石碑が語る災害の記憶,飢饉発生のメカニズム,危機管理システムの構築 第13回 天保期の経済政策 株仲間の解散,地方経済の成長,大塩平八郎の乱と国訴 第14回 開港とその経済的影響 ペリー艦隊の来航と開国の経緯,不平等条約の締結,金貨流出からインフレへ 第15回 近世から近代へ 世直しと戊辰戦争,幕藩体制の崩壊と明治維新 (授業の方法) 講義は、15回すべて資料を用いる。資料は講義の前に,teamsおよびポータルサイトにアップロードするので,必要があれば,講義が開始される前までに各自印刷をしておくこと。 講義では必要事項を板書するので,配布プリントに各自記入すること。板書を写真撮影することは禁止している。講義回によっては課題を出題し,それに対する回答を求めることがある。回答のフィードバックは,次回講義時のはじめに行う。 テキスト・参考書
(参考書)浜野潔ほか編著『日本経済史 1600−2000 歴史に読む現代』(慶應義塾大学出版会,2009年),『日本経済の歴史 第2巻近世−16世紀末から19世紀前半−』(岩波書店,2017年),鬼頭宏『人口から読む日本の歴史』(講談社学術文庫,2000年,2022年)など。
*適宜,講義中に紹介する。 授業時間外の学修
(事前学修)
前回のプリント(必要事項を記入し各自で作成したもの)をよく読み,次回の講義に参加すること。歴史的展開を重視する講義のため,必ず読んでおくこと。 (事後学修) 講義終了後,その回に学んだことに関する課題の提出を求めることがある。 成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
後期認定試験(100%)ただし、講義中の課題コメントシートを6割以上提出していること。 (成績評価の基準) 到達目標1:日本近世の経済的特質(税制,身分制,外交政策)について正しく答えることができる。 到達目標2:日本近世における経済動向の変化に対応した経済政策の特徴について正しく答えることができる。 到達目標3:外圧の流れと,災害・飢饉など社会的危機に対する対応について正しく答えることができる。 備 考
1.毎回配布資料とパワーポイントを使用し,毎回「講義」形式で進める。
2.講義プリントをよく読み,予習・復習(各回予習・復習とも30分程度)を行うこと。 3.板書や画面内容の写真撮影は禁止している。必ず自筆すること。 担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容
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