シラバス情報

授業科目名
芸術論特講2
開講年次
1年
開講年度学期
2024年度前期
単位数
2単位
科目ナンバリング
担当教員名
天王寺谷 千裕
担当形態
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
西洋美術史
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
美術作品を分析するための方法論、主題に関する図像的・文学的典拠、同時代の社会的背景などを総合的に学習し、個々の作品の特徴を自らの言葉で美術史学的観点から記述できるようになることを目標とします。

(受講生の到達目標)
1.美術史に関する専門的な知識を修得し、応用することができる
2.個々の作品の特徴を、自らの言葉で記述することができる
3.時代や地域によって異なる多様な芸術表現について論じることができる
【授業の概要】
この講義ではギュスターヴ・クールベの画業を通覧し、その作品制作過程や芸術的信条の変遷に触れます。彼の作品分析とともに当時の文化的潮流や時代背景などを総合的に検討することで美術史学的思考を学びます。毎回のテーマに沿ってクールベの作品を具体的に解説しながら授業を進めます。また、サロン制度や批評の働きなど19世紀フランス全体の美術動向全体の理解も深めます。
【授業計画と授業の方法】
第1回:イントロダクション(講義・討論)
第2回:初期画業とロマン主義(講義・討論)
第3回:西洋美術におけるレアリスム(講義・討論)
第4回:自画像と肖像画のイメージ戦略(講義・討論)
第5回:万国博覧会とレアリスム展(講義・討論)
第6回:1853年のサロン(講義・討論)
第7回:レアリスムと女性表象1(講義・討論)
第8回:レアリスムと女性表象2(講義・討論)
第9回:素描制作(講義・討論)
第10回:政治と芸術の関係(講義・討論)
第11回:風景画(講義・討論)
第12回:海の風景画と狩猟画(講義・討論)
第13回:サロンと裸婦(講義・討論)
第14回:パリ・コミューンでの活動と静物画(講義・討論)
第15回:スイスでの活動と没後の評価(講義・討論)
第16回:総括と試験(試験)
テキスト・参考書
(テキスト)教科書は使用しません。
(参考書)
Exh. Cat. Gustave Courbet, Pierre Vallaud et al.(ed.), Galeries nationales du Grand Palais, Paris, 2007-2008, Metropolitan Museum of Art, New York, 2008, Musée Fabre, Montpellier, 2008; Paris, Réunion des musées nationaux, 2007.
ジェームズ・H. ルービン『クールベ』三浦篤訳、岩波書店、2004年
メイヤー・シャピロ「クールベと民衆版画」『モダン・アート : 19-20世紀美術研究』二見史郎訳、みすず書房、54-100頁、1984年
授業時間外の学修
第1回
(事前学習 60分)7月王政以降のフランスの歴史を予習する
(事後学習 60分)ジャンルのヒエラルキーについて復習する

第2回
(事前学習 60分)クールベの初期作品を探す
(事後学習 60分)ロマン主義について復習する

第3回
(事前学習 60分)レアリスムに分類される作品を探す
(事後学習 60分)19世紀フランスのレアリスムについて復習する

第4回
(事前学習 60分)クールベの自画像を調べる
(事後学習 60分)メイヤー・シャピロ「クールベと民衆版画」該当部分を読む

第5回
(事前学習 60分)《画家のアトリエ》について調べる
(事後学習 60分)万国博覧会について復習する

第6回
(事前学習 60分)1853年のサロンの出展作を探す
(事後学習 60分)授業で扱った作品を所有する美術館のHP(作品情報)を精読する

第7回
(事前学習 60分)メトロポリタン美術館の《村のお嬢さんたち》から参考文献を一つ挙げる
(事後学習 60分)《村のお嬢さんたち》について復習する

第8回
(事前学習 60分)《セーヌ河畔のお嬢さんたち》が掲載された展覧会カタログを見つける
(事後学習 60分)《セーヌ河畔のお嬢さんたち》について復習する

第9回
(事前学習 60分)クールベの素描作品を探す
(事後学習 60分)作品制作における素描の役割を復習する

第10回
(事前学習 60分)フーリエ主義について調べる
(事後学習 60分)授業で扱った政治と芸術に関する内容をふまえて、具体的な作品を分析する

第11回
(事前学習 60分)クールベの風景画を探す
(事後学習 60分)風景画の成立について復習する

第12回
(事前学習 60分)クールベの海の風景画または狩猟画を探す
(事後学習 60分)狩猟画の成立について復習する

第13回
(事前学習 60分)「アモルとプシュケ」について予習する
(事後学習 60分)19世紀フランスにおけるサロンの役割を復習する

第14回
(事前学習 60分)クールベの静物画を探す
(事後学習 60分)パリ・コミューンについて復習する

第15回
(事前学習 60分)クールベがどのように評価されてきたか調べる
(事後学習 60分)クールベの回顧展のカタログを読む

第16回
(事前学習 60分)これまでの授業資料を総復習する
(事後学習 60分)試験問題を振り返り、自分の解答の改善点を探る
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
授業への積極的な参加と授業内小課題:60%
最終時限の論述試験:40%

(成績評価の基準)
到達目標1:課題や授業内の発言において、美術史学に関する正確な知識や手法を適用できる。
到達目標2:作品に関する積極的な議論を通して、作品調査・報告の手法を身につけ、他者の意見に耳を傾けながら自身の考えを伝えることができる。
到達目標3:美術史学的観点を理解したうえで多角的な視点から作品を観察し、芸術的な視野を広げる意欲がある。
備  考
担当教員の実務経験の有無
実務経験の具体的内容