教員名 : 林 直樹
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授業科目名
日本経済論
開講年次
2年
開講年度学期
2024年度後期
単位数
2単位
科目ナンバリング
E-EC-214L
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
教員の免許状取得のための選択科目
科目区分・・・教科及び教科の指導法に関する科目(高等学校 商業) 施行規則に定める科目区分又は事項等・・・商業の関係科目 この授業の基礎となる科目
経済史、経済学史
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
【授業の目的】
(1)時代背景、思想、政策立案の相互関係を、立体的に把握する。 (2)過去と現在の日本経済を比較考量して将来の見通しを立てるための、中長期的視野を獲得する。 【受講生の到達目標】 (1)時代の中で生み出されてきた諸政策の狙いとその「意図せざる」帰結を、整理しつつ論述することができる。 (2)過去と批判的に距離を取りつつも現代に読み換えて発想する「現実的な想像力」を、駆使することができる。 【授業の概要】
新型コロナウィルスによるパンデミック、ロシア対ウクライナの「戦争」その他の影響で、デフレからインフレへと急激に日本経済の局面が変化する中、政治の側から「新しい資本主義」が唱えられる昨今である。字面の上ではどこか戦前戦中の「経済新体制」を想起させる、この最近流行の概念は、本当に過去のそれと似ていないのか。初めは異なるように見えても、だんだんと似てくる、といったことはないか。仮に問題点まで似てしまうとしたら、それこそが問題である。こうしたことを考えるための材料をふんだんに提供しつつ、この授業では、過去の「統制経済」を回顧することを通じて現在を省み、よりよい将来を展望してみたい。
もともとはオイルショック下の危機感を背景として1974年に刊行されたテキストの著者は、1925年の生まれ。したがって「カーキ色の青春とでもいうべきティーンエイジャー時代を送った」とエピローグにある。東京の木綿問屋に生を受けた著者が肌で覚えた「経済統制」の実地経験を交えつつ、統計学者も兼ねた経済学者としての目で、昭和恐慌に始まりドッジ・ラインに終わる、戦前・戦中・戦後の20年間を切り取ったのが、このテキストである。戦後の日本経済の仕組みを「1940年体制」と呼ぶ論者もいるが、この時代の統制経済の(正負を問わない)遺産が現代の私たちにまで及ぼしている影響について知るだけでなく、まさに現在進行形になりうる現象としての「経済統制」に関する一つの重要事例として過去の日本を研究し、「先を読む力」を身につけることも、この授業の狙いである。 【授業計画と授業の方法】
第 1回 ガイダンス/プロローグ【講義&課題】
第 2回 恐慌と統制(1):昭和恐慌とカルテル立法【講義&課題】 第 3回 恐慌と統制(2):電力の国家管理【講義&課題】 第 4回 日華事変と全面統制の開始(1):二・二六と馬場財政【講義&課題】 第 5回 日華事変と全面統制の開始(2):国家総動員法の成立【講義&課題】 第 6回 日華事変と全面統制の開始(3):利潤統制と労務統制【講義&課題】 第 7回 太平洋戦争前夜の日本経済(1):十四年物動と価格統制【講義&課題】 第 8回 太平洋戦争前夜の日本経済(2):「経済新体制」【講義&課題】 第 9回 太平洋戦争前夜の日本経済(3):統制の深化【講義&課題】 第10回 太平洋戦争下の統制(1):日米開戦【講義&課題】 第11回 太平洋戦争下の統制(2):金融体制と企業形態【講義&課題】 第12回 太平洋戦争下の統制(3):戦時下の国民生活【講義&課題】 第13回 戦後の経済統制(1):敗戦と統制の再開【講義&課題 第14回 戦後の経済統制(2):ドッジ・ラインと統制撤廃【講義&課題】 第15回 エピローグ/現代的展望【講義&課題】 テキストに沿って進める。ただし、テキストにない情報を盛り込んだ教員作成の授業レジュメを毎回用意する。教員が参考にした書籍等はその都度、授業内で知らせる。 授業においては、教員の口頭説明ならびに板書を軸に内容が展開していくため、ノートを取りやすい環境を整えて受講することが望ましい。 なお、上記の予定表に示された「課題」とはコメントシートを指す。詳しくは「授業時間外の学修」および「成績評価の方法と基準」の項を参照されたい。 テキスト・参考書
中村隆英『日本の経済統制:戦時・戦後の経験と教訓』ちくま学芸文庫(2017年)
授業時間外の学修
(事前学修)
テキストや授業レジュメの該当範囲を、あらかじめ読み込んでおくとよい。 (事後学修) 復習を兼ねたコメントシートへの取り組みにつき、毎回30分程度の自習を求める。 成績評価の方法と基準
・学期末定期試験(70%)の結果にコメントシート(30%)の提出状況を加味し、到達目標に照らして評価する。
・コメントシートには原則として毎回2点を付与し、全15回分の提出をもって30点満点とする。提出締切には余裕を持たせるため、急いて提出する必要はない。 ・試験では、定着させた知識を結合させながら自らの思考の道筋に沿った主張をなすこと、つまり論述を重んじる。授業内容を「覚える」だけでなく「理解して咀嚼する」ことが不可欠である。 備 考
Teamsで事前に資料(レジュメ等)共有を行い、対面で授業を進めていきます。毎回、録画を行いますので、万一欠席した場合や復習に活用可能です。
また、コメントシートの提出もTeams上で行ってもらいます。締切は授業当日24時とし、課題提出前の復習時間も充分に確保します。オンライン時代の「利器」を積極的に活用しながら、効率よく、そして同時により深く知識を定着させてもらえたらと、教員としては願っています。 担当教員の実務経験の有無
無
実務経験の具体的内容
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