シラバス情報

授業科目名
外国書講読2
開講年次
2年
開講年度学期
2024年度後期
単位数
2単位
科目ナンバリング
E-CS-206L
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
【授業の目的】
(1)英語による専門的論説に触れることで英書に対する抵抗感を払拭し、類書を自ら読む姿勢を習慣づける。
(2)定評ある著者による最新の入門学術書を通じて、当該分野の研究が持つ現代的意義を理解する。
【受講生の到達目標】
(1)英文の論理(文章構成法)に習熟する。
(2)量よりも質、速さよりも深さを念頭に置き、文脈を精確に把握することができる。
【授業の概要】
 ロシア・ウクライナ間の戦争が始まって、すでに久しい。当初は早期終結を予想する声もあったが、持久戦にもつれ込みつつある。なぜ、このような事態に立ち至ってしまったのだろうか。このきわめて現代的な問いに対する答えは数多存在するであろうが、少なくとも一つの答えを探り当てるべく、この授業では「ロシア史」という広大な大陸に足を踏み入れてみたい。
 テキストの著者ホスキングはイギリスにおけるロシア史の専門家で、キエフ(キーウ)大公国からポスト・ソ連時代までを視野に収めた細密な歴史を展開できる人である。テキストの序文で語られている通り、ホスキングの問題意識は(トルストイら)「善いロシア人」と(スターリンら)「悪いロシア人」といった形で「ロシア」を単純に処理しがちな私たちの先入見(ラベリング)を問い直すことにある。ただ、あまりに複雑な知識を詰め込み式で読者に伝えることで多様性を強調しようとするのではなく、為政者・エリート・庶民の三者間における「暗黙の協約(tacit compact)」がロシア帝国史において有した持久力と、それが内包する不安定性、という基本図式を用意することによって、西は欧州、東はアジアという、文字通りユーラシア大陸を横断するほどに非常にスケールが大きく、かつ繊細な条件のもと展開してきたロシアの長い歴史を、私たち読者に分かりやすく伝えようとしている。
 教員もロシア史については全くの素人であるので、ホスキングのテキストを通じて受講者の皆さんとともにロシア史に「入門」してみたいと思っている。
【授業計画と授業の方法】
第 1回 Orientation
第 2回 Kievan Rus and the Mongols (1)【講義】
第 3回 Kievan Rus and the Mongols (2)【講義】
第 4回 The Formation of the Muscovite State (1)【講義】
第 5回 The Formation of the Muscovite State (2)【講義】
第 6回 The Russian Empire and Europe (1)【講義】
第 7回 The Russian Empire and Europe (2)【講義】
第 8回 Mid-term Test【講義&課題】
第 9回 The Responsibilities and Dangers of the Empire【講義】
第10回 Reform and Revolution (1)【講義】
第11回 Reform and Revolution (2)【講義】
第12回 The Soviet Union's Turbulent Rise【講義】
第13回 The Soviet Union: Triumph, Decline, and Fall (1)【講義】
第14回 The Soviet Union: Triumph, Decline, and Fall (2)【講義】
第15回 Final Test【講義&課題】

 内容はテキストに準拠するが、教員が別途、授業レジュメを作成して配布する。
 前半はロシア帝国の形成史を、後半は20世紀以降の現代史、とりわけソ連史を扱うことになるだろう。前半のまとめとして中間試験を、後半のまとめとして最終テストを配置する。
テキスト・参考書
Geoffrey Hosking, "Russian History: A Very Short Introduction" (OUP, 2012)
授業時間外の学修
(事前学修)
レジュメの該当範囲にあらかじめ目を通しておくこと。
(事後学修)
単語の意味だけでなく英文の文脈を正しくつかみ取るために、よく復習すること。
成績評価の方法と基準
・中間試験50%、最終試験50%の合算で評価する。
・試験では、上述した到達目標に照らして満足のいく水準に到達しているかどうかを確認することに重きを置く。
備  考
 Teamsで資料を共有しながら、対面で授業を進めていきます。通常の演習以上に少人数になるでしょうから、個別指導に近い環境でじっくり取り組みたい人にお薦めです。
担当教員の実務経験の有無
実務経験の具体的内容