教員名 : 林 直樹
|
授業科目名
専門演習1b
開講年次
3年
開講年度学期
2024年度後期
単位数
2単位
科目ナンバリング
E-CS-302S
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
【授業の目的】
(1)研究の意義とは何かを、先例を通して知る。 (2)書籍や資史料を用いて研究する上でのマナーを身につける。 (3)研究報告を実践することで、レポートと研究論文との差異を明確に把握する。 【受講生の到達目標】 (1)先行研究の検討を通して、問題意識を明確に表明することができる。 (2)自らの研究にふさわしい手法を適切に選び取ることができる。 (3)報告後のフィードバックを、以後の研究遂行に確実に反映することができる。 【授業の概要】
経済学と社会思想は密接に関係している。しかし両者は同じものではない。後者が多様な価値判断(「べき」領域)を明示的に扱うのに対して、前者は特定の「べき」を暗黙の前提にした「である」領域を扱うからである。経済学者ライオネル・ロビンズも大切にしたこの区別を、まずは押さえてほしい。
また社会学と社会思想も同じものではない。社会学は経済学が拾いきれない領域を扱うという点では社会思想と共通するし、そうした問題意識からパレートや高田保馬のような、あるいは旧社会政策学会に集った経済学者たちのような先達は経済学と社会学を同時に修めようとした。だが、多様な「べき」と「である」との関係を問う社会学もまた、「べき」同士の関係を問い詰める社会思想とは次元を異にする。社会思想はむしろ哲学に近い。 担当教員は経済学史と社会思想史を専門としている。前者は経済学説の形成過程を追うが、これは、一定の価値判断を前提にした純理論的な概念構成を把握することを目的とする。それに対して後者が取り上げるのは、経済学説が前提としている価値判断そのものの形成過程と、その妥当性である。「である」と「べき」の区別がいかに重要かは20世紀以降に強調されるようになったけれども、この点はすでに、18世紀においてアダム・スミスとともに「経済学」の形成を担ったデイヴィッド・ヒュームが哲学者として指摘していた。 この授業では、過去を学ぶことを通して経済と社会の関係性を掘り下げ、不透明化著しい日本を含めた現代経済社会の将来を深く見通す「眼力」を培うことを目指す。 【授業計画と授業の方法】
第 1回 輪読書の分担報告(1)【演習&課題】
第 2回 輪読書の分担報告(2)【演習&課題】 第 3回 輪読書の分担報告(3)【演習&課題】 第 4回 輪読書の分担報告(4)【演習&課題】 第 5回 輪読書の分担報告(5)【演習&課題】 第 6回 輪読書の分担報告(6)【演習&課題】 第 7回 輪読書の分担報告(7)【演習&課題】 第 8回 個別研究報告(1)【演習&課題】 第 9回 個別研究報告(2)【演習&課題】 第10回 個別研究報告(3)【演習&課題】 第11回 個別研究報告(4)【演習&課題】 第12回 個別研究報告(5)【演習&課題】 第13回 個別研究報告(6)【演習&課題】 第14回 個別研究報告(7)【演習&課題】 第15回 後期のまとめ【講義】 次年度に取り組む卒業研究を視野に収めながら、その助走段階としての個別研究に着手してもらう。 前期に引き続き、輪読書に関する受講者による分担報告を行う。その後、個別研究報告の二巡目を遂行する。「課題」とあるのは主として報告準備を指す。一人30分程度の報告を準備するには、少なくとも数時間は研究書の読解と資料作成に時間を注ぐ必要がある。教員はすべての報告資料に事前に目を通し、必要な改訂示唆を行う。また受講者は、報告後に受けたフィードバックを今後の研究に活かすことも求められる。 テキスト・参考書
特に指定しない。個別研究報告用の資料、ならびに輪読書は、受講者と相談の上で決定する。
授業時間外の学修
(事前学修)
定期的に巡ってくる報告のための事前準備を怠らないこと。 (事後学修) 報告後は次回の報告に向けて反省点を洗い出しておくこと。 成績評価の方法と基準
・研究報告(分担報告含む)の水準を到達目標に照らして総合的に評価する。
・より具体的には、事前準備にどれほど手間をかけているか、報告時の姿勢および質疑応答への対応はどうかを、評価軸として特に重視する。 備 考
多様なテーマに基づく個別研究が中心となります。前期に引き続き、他の受講者の報告についても関心を持つように努め、知らない、分からないからといって自ら情報を遮断することは止しましょう。むしろ「無知を知る」ことを機縁とし、日頃から何事も「調べ、考える」姿勢を保つようにしてください。
担当教員の実務経験の有無
無
実務経験の具体的内容
|