シラバス情報

授業科目名
芸術論特講2
開講年次
1年
開講年度学期
2023年度前期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
担当教員名
天王寺谷 千裕
担当形態
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
西洋美術史
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
美術作品を分析するための方法論、主題に関する文学的典拠、制作背景を踏まえた作品の意味内容の読解などを学習し、個々の作品の特徴を自らの言葉で記述できるようになることを目標とします。

(受講生の到達目標)
1.図像学に関する専門的な知識を修得し、応用することができる
2.個々の作品の特徴を、自らの言葉で記述することができる
3.時代や地域によって異なる多様な芸術表現について論じることができる
【授業の概要】
西洋美術史には、美術作品に描かれたテーマ、その深い意味、内容について考察する「図像学(イコノグラフィー)」という分野があります。本講義では、まず、図像学の理論について学び、伝統的な西洋絵画を読解するための方法論を修得します。その上で、主に17世紀のフランス人画家ニコラ・プッサンの作品を題材にしながら、神話画、旧約聖書・新約聖書に基づく絵画を具体的に分析します。 
【授業計画と授業の方法】
第1回:図像学 理論編(1)図像学の概要(講義)
第2回:図像学 実践編(1)ユピテル、ユノ(講義・討論)
第3回:図像学 実践編(2)アポロ(講義・討論)
第4回:図像学 実践編(3)神話画:ディアナ、ネプトゥヌス、ミネルヴァ(講義・討論)
第5回:図像学 実践編(4)神話画:バッカス(講義・討論)
第6回:図像学 実践編(5)神話画:ウェヌス、クピド、マルス(講義・討論)
第7回:図像学 実践編(6)古代史:トロイア戦争(講義・討論)
第8回:図像学 実践編(7)神話画:ルーベンス《マリー・ド・メディシスの生涯》(講義・討論)
第9回:図像学 理論編(2)予型論の概要、実践編(8)旧約聖書:天地創造(講義・討論)
第10回:図像学 実践編(9)旧約聖書:モーセ
第11回:図像学 実践編(10)旧約聖書:ダヴィデ、ソロモン(講義・討論)
第12回:図像学 実践編(11)新約聖書:イエスの生涯(講義・討論)
第13回:図像学 実践編(12)新約聖書:受胎告知、降誕、嬰児虐殺(講義・討論)
第14回:図像学 実践編(13)新約聖書:洗礼、最後の晩餐、磔刑(講義・討論)
第15回:図像学 実践編(14)新約聖書:諸聖人(講義・討論)
第16回:総括と論述試験(試験)
テキスト・参考書
(テキスト)教科書は使用しません。適宜、レジュメを配布します。
(参考書) 
ルーロフ・ファン・ストラーテン『イコノグラフィー入門』、 鯨井秀伸訳、ブリュッケ、2002年
オウィディウス『変身物語』上下巻、中村善也訳、岩波文庫、1981年
共同訳聖書実行委員会『聖書 新共同訳—旧約聖書続編つき』、日本聖書協会、2003年
授業時間外の学修
第1回
(事前学習 60分)図像学に関連する用語について事典で調べる
(事後学習 60分)図像学の三段階を復習し、授業で扱わなかった作例に応用して分析する

第2回
(事前学習 60分)オリュンポス十二神が描かれた絵画作品を探す
(事後学習 60分)古代における神々の同化の問題について整理する

第3回
(事前学習 60分)「パルナッソス」という主題が描かれた絵画作品を探す
(事後学習 60分)神々のギリシャ名・ローマ名を覚える

第4回
(事前学習 60分)これまでの授業で参照した『変身物語』の該当箇所を読み、逸話の共通点を探す
(事後学習 60分)西洋絵画において、珍しい動物がどのように表象されてきたかを調べる

第5回
(事前学習 60分)古代神話を題材にした石膏像を探し、人物名を同定する
(事後学習 60分)これまで学習した副次的な人物(半獣神など)について整理する

第6回
(事前学習 60分)第3回授業で学習した「パルナッソス」の主要人物と意味内容を復習する
(事後学習 60分)「ウェヌスとマルス」を表した作例を探す

第7回
(事前学習 60分)これまでに学習したユノ、ミネルヴァ、ウェヌスの特色を復習する
(事後学習 60分)《ラオコーン群像》が後世の美術に与えた影響を整理する

第8回
(事前学習 60分)これまでに学習したオリュンポス十二神の特色を復習する
(事後学習 60分)連作《マリー・ド・メディシスの生涯》のうち、授業で取り上げなかった作例を自ら分析する

第9回
(事前学習 60分)キリスト教の主題を描いた絵画作品を予習する
(事後学習 60分)旧約聖書と新約聖書の関係性を予型論の観点からまとめる

第10回
(事前学習 60分)「出エジプト記」を通覧し、概要を把握する
(事後学習 60分)モーセがキリストの予型とみなされた理由を整理する

第11回
(事前学習 60分)「サムエル記」と「列王記」を通覧し、概要を把握する
(事後学習 60分)ダヴィデと改悛の教義について整理する

第12回
(事前学習 60分)イエスの生涯を描いた絵画作品を収集し、よく描かれる主題を探す
(事後学習 60分)イエスの生涯における主要な出来事を、時系列に沿ってまとめる

第13回
(事前学習 60分)四福音書の「受胎告知」、「降誕」、「嬰児虐殺」の該当箇所を読む
(事後学習 60分)三位一体の教義とその表象について整理する

第14回
(事前学習 60分)四福音書の「最後の晩餐」の箇所を、比較しながら読む
(事後学習 60分)聖餐式の起源と意義について整理する

第15回
(事前学習 60分)「使徒行伝」を通覧し、概要を把握する
(事後学習 60分)聖人を見分けるアトリビュートをまとめる

第16回
(事前学習 60分)これまでの授業資料を総復習する
(事後学習 60分)試験問題を振り返り、自分の解答の改善点を探る
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
毎回の授業内レポートとそれに基づく議論(60%)、最終時限の論述試験(40%)
(成績評価の基準)
授業内レポートでは、到達目標1・2(図像学の方法論を理解して応用できているか、神話や聖書に照らしながら作品を解釈できているか、絵画作品の造形的特徴を適切に記述できているか)を基準に評価します。最終時限の論述試験では、到達目標1・2・3(これまで学習した内容を応用し、初見の絵画作品について図像分析ができているか)を基準にします。 
備  考
感染症拡大などの理由によりオンライン授業になる場合は、オンデマンド型で実施します。ono-po(尾道市立大学ポータルサイト)内のクラスプロファイルを活用し、課題管理の機能を通じて、授業資料や課題のやり取りをします。 
担当教員の実務経験の有無
実務経験の具体的内容