教員名 : 山田 祐子
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授業科目名
文化財保存学概論
開講年次
1年
開講年度学期
2023年度前期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
A-RC-101L
担当教員名
山田 祐子
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
博物館学入門
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
さまざまな環境におかれた文化財の劣化やその対策について知り、文化財の保存・修復を行う際の基本的な考え方を述べることができるようになる。 (受講生の到達目標) 到達目標1:日本の「文化財」の定義について説明することができる。 到達目標2:文化財作品を見る際に、作品の構造や素材といった切り口から捉えることができる。 到達目標3:文化財作品を見る際に、作品の損傷状態や保存環境の問題に気づくことができる。 【授業の概要】
文化財保護法制定までの流れとその内容を通して、日本における文化財保護の歴史および文化財の定義や概念について学ぶ。また、文化財を劣化させるさまざまな要因について具体例を交えて紹介し、文化財を保存する上で必要な保存環境について学ぶ。さらに、日本の文化財の形態や構造を知り、作品修復に使用される材料や道具に触れることで日本文化や文化財を構築する材料への理解を深める。作品調査や修復材料を用いた演習を通して作品の構造や素材への理解を深める。
【授業計画と授業の方法】
(授業計画)
第1回:「文化財保護法」 −「文化財保護法」制定までの歴史的背景と法律の内容について−(講義) 第2回:保存環境1 −文化財の劣化要因のうち、温湿度と光が作品に与える影響について−(講義) 第3回:保存環境2 −文化財の劣化要因のうち、大気汚染と生物被害が作品に与える影響について−(講義) 第4回:絵画の構造 −日本絵画の技法と材料、構造について−(講義) 第5回:装潢文化財の形態・構造 −掛軸、屏風、冊子に代表される日本の絵画作品の装丁−(講義) 第6回:装潢文化財の形態・構造 −それぞれの装丁の特徴と構造−(講義) −掛軸作品を用いた掛け下ろしの取り扱い演習−(演習) 第7回:装潢文化財の修復に使用される材料 −掛軸、屛風、冊子などの作品の修復に用いる紙、絹−(講義) 第8回:装潢文化財の修復に使用される材料 −掛軸、屛風、冊子などの作品の修復に用いる接着剤(糊、膠、フノリなど)−(講義) 第9回:作品調査 −文化財を修復するにあたってどのような調査を行い、どのように判断するのかについて−(講義) 第10回:作品調査 −傷んだ掛軸作品を観察し、損傷状態の診断を行う−(演習) 第11回:修復素材調査 −修復に用いる素材を使った演習。素材の観察を通してそれぞれの違いを知る−(演習) 第12回:修復事例紹介 −実際の修復現場ではどのような処置を行なっているのかについて、事例を通して紹介−(講義) 第13回:予防保存 −日常的な作品管理について−(講義) 第14回:糊炊き −文化財の修復に使用する小麦でんぷん糊を作る、使う−(演習) 第15回:文化財レスキュー −自然災害等で被災した文化財を救うための活動について−(講義) (授業の方法) パワーポイントでの講義を中心とし、動画なども用いて説明を行います。 演習では実際の掛軸作品や修復材料を用いて、作品の取扱いの練習や観察を行います。 テキスト・参考書
教科書は使用せず、必要に応じてプリント配布
授業時間外の学修
受講前および受講後に美術館、博物館のような文化財を扱う施設等への自主見学
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
授業・演習への参加態度(50%) 課題レポート(50%) (成績評価の基準) 到達目標1:日本の「文化財」の定義を理解し、説明することができている。 到達目標2:文化財作品の構造や素材に興味関心を持ち、そのような切り口から作品を捉えることができるようになる。 到達目標3:文化財作品のおかれた状況に気を配り、損傷状態や保存環境の問題に気づくことができるようになる。 備 考
この授業の基礎となる科目として「博物館学入門」が望まれるが、受講経験がなくてもよい
担当教員の実務経験の有無
〇
実務経験の具体的内容
文化財の保存、修復に携わっている教員による授業
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