シラバス情報

授業科目名
生命倫理
開講年次
1年
開講年度学期
2023年度後期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
G-HU-102L
担当教員名
松井 富美男
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(授業の目的)
この授業の目的は、人間の生死に関する諸問題を様々な観点から取り上げて、それにどう対処したらよいのかを考えることです。現代社会に特有な現象の一つに、生命医療技術が急速にかつ高度に発達して、人間の生死を精確にコントロールできるようになったことが挙げられます。授業でそのような事例をいくつも紹介します。これらに潜む複雑な事情を十分に考慮した上で、どう対処するのが、だれにとって一番よいのかを考えます。その答えは人や立場によって異なり、収れんすることはないでしょう。しかし答えが出ないからといってその緊張状態から目をそらすのではなく、前向きな気持ちでこの状態に堪え続けることが重要です。それが真にできたとき自身の死生観を確立できているはずです。
(受講生の到達目標)
到達目標1;諸問題に主体的に取り組むことができる。
到達目標2;諸問題を論理的に分析することができる。
到達目標3;相対的な見方ができるようになる。
【授業の概要】
生命倫理は1970年代に米国で産声をあげた新しい学問です。その問題領域は多岐にわたり学際的な性格を持ちます。この授業では生命倫理の諸問題を哲学の観点から考えます。生死をめぐる深刻な状況がいかに生じたのか、その歴史的経緯にも触れつつ、そこにおける問題点を様々な観点から検討していきます。そしてこの作業に伴いカギとなる諸思想や諸概念にも触れます。毎回PPTを使った授業をおこないますが、途中で短時間のビデオを挿入する場合もあります。そうすることで問題点を深く掘り下げることが可能になります。最終的には伝統的な死生観、人間観、自然観などが大きく揺らいで変容しつつあることを掴む必要があります。
【授業計画と授業の方法】
(授業計画)
第 1回 オリエンテーション、生命倫理の概要を説明する
第 2回 ナチズムと優生学の類似点を示し、その問題点を探る
第 3回 パターナリズムと対峙させて自己決定の重要性について述べる
第 4回 遺伝子科学の進展に伴う予測医療の現状を紹介し、その問題点を探る
第 5回 「死」の定義と、植物状態と脳死状態の相違点を説明する
第 6回 移植医療と人体の商品化の関係を説明し、その問題点を探る
第 7回 生殖医療が「選択」の段階に突入したことを示し、その問題点を探る
第 8回 エンハンスメントと再生医療の現状を示し、その問題点を探る
第 9回 アシュリー療法の内容と経過を示し、その問題点を探る
第10回 「人間の尊厳」の概念について様々な観点から講じる 
第11回 伝統的人格論と現代パーソン論の相違点を説明する
第12回 「死に方」の観点から安楽死について考える
第13回 尊厳死の妥当条件と問題点について考える
第14回 死生観を類型的に区別し、それぞれの特性を説明する  
第15回 生命倫理の観点から死刑制度の是非について考える
第16回 試験
(授業の方法)
第1回から第15回まで 約80分間のPPTを用いた講義をおこない、残りの時間(約10分間)
を授業に関連した小レポートの作成に当てる
第16回 授業理解度をはかる筆記試験をおこなう
テキスト・参考書
教科書は使用しない。授業資料を配信する。
授業時間外の学修
(事前学習)
当日の授業資料をポータルサイトに掲載するので、事前に目を通して、知らない言葉や用語があればその意味を調べ、だいたいの流れを掴んで授業に臨むこと。
(事後学習)
授業内容を思い出して、後日のためにポイントを文章の形でまとめておくこと。
成績評価の方法と基準
(成績評価の方法)
各回の小レポートと期末の筆記試験を併せて総合的に評価する
(成績評価の基準)
小レポートを1回分2点で30点満点(30%)とし、期末試験を70点満点(70%)として合算する。 
備  考
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容