![]() 教員名 : 林 直樹
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授業科目名
基礎演習1
開講年次
1年
開講年度学期
2023年度前期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
E-CS-101S
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
【授業の目的】
(1)テキストを素材として、問題を発見することを習慣づける。 (2)プレゼンテーションやディスカッションに必要な基本スキルを修得する。 【受講生の到達目標】 (1)テキストの論旨を精確に読解し、的確なレジュメを作成することができる。 (2)レジュメをふまえながら自らの意見を練り上げ、明確に発表することができる。 【授業の概要】
倫理=モラルと経済。一見、相容れないもののようであるが、「経済学の父」アダム・スミスが道徳哲学者として古典的名著『道徳感情論』をのこした事実を知れば、その認識が不確かであることに気づかされるだろう。
古代から現代に至るまで倫理に関する著作は数多い。小言に近いものから大言壮語の体系に至るまで、その水準も対象の幅も様々である。この授業では、イギリス近代の倫理思想家(モラリスト)たちの言説に対象を絞ったコンパクトなテキストを糧に、経済学の誕生と関わりの深い倫理的な一潮流としての「利己心の肯定」について考えてみたい。 難しいテーマのようだが、テキストは平易で読みやすい。大学に入学したての皆さんが、例えば高校で倫理を学習していればきっとすぐに馴染める内容であろうし、そうでない皆さん(例えば理系出身の人)も、一貫して論理的に唱えられた倫理学説の魅力に誘われて、いつしかテキストをすらすらと読み進められるようになっているはずである。 【授業計画と授業の方法】
第 1回 ガイダンス/はじめに【講義】
第 2回 ホッブズ:人間は必ず自分の善を意志する【演習&課題】 第 3回 シャフツベリ:自然的情愛は人間を幸福にする【演習&課題】 第 4回 マンデヴィル:利己心は社会に利益をもたらす【演習&課題】 第 5回 ハチスン:自己愛は仁愛と共同しうる【演習&課題】 第 6回 バトラー:自己愛と仁愛は一致する【演習&課題】 第 7回 ヒューム:利己心は自らを抑制する【演習&課題】 第 8回 ハートリー:快楽や苦痛は連合する【演習&課題】 第 9回 スミス:個人の利益と社会の利益は一致する【演習&課題】 第10回 リード:利害の感覚は義務の感覚に似ている【演習&課題】 第11回 ベンサム:社会の利益は個人の利益の総和である【演習&課題】 第12回 ミル:法や教育が人間を社会的にする【演習&課題】 第13回 シジウィック:自己と他者は根本的に違う【演習&課題】 第14回 ブラッドリー:自己実現が目的である【演習&課題】 第15回 スペンサー:利己性は利他性に先行する【演習&課題】 個人発表とグループ発表の二本立てで構成される。「課題」とあるのは発表に向けた準備を指す。 まず初めに全員が一人ずつ別のモラリストを取り上げ、個人発表を行っていく。それらがすべて済んだ段階でグループを組み、残るモラリスト全員を概括的に取り上げて、イギリス近代の「利己心」思想史を総括してもらう。なお、教員が適宜、内容に関して掘り下げた解説を加える。 テキスト・参考書
柘植尚則『人間は利己的か:イギリス・モラリストの論争を読む』慶應義塾大学三田哲学会叢書(2022年)
授業時間外の学修
(事前学修)
発表準備を怠らないこと。自らの担当範囲以外についても、テキストを読んでおくこと。 (事後学修) 発表後に得たフィードバックを記憶に留めておくこと。そして次回以降の発表に活かすこと。 成績評価の方法と基準
・個人発表とグループ発表における水準を、上記到達目標に照らして評価する。両者のウェイトは50%ずつである。
備 考
個人発表とグループ発表の場では、単なる「レポート」に終始しないように、論点や疑問点を含めた「皆さん自身の意見」を積極的に提示するよう心がけてください。
担当教員の実務経験の有無
無
実務経験の具体的内容
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