シラバス情報

授業科目名
日本経済論
開講年次
2年
開講年度学期
2021年度後期
単位数
2単位
科目ナンバリング
E-EC-214L
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
教員の免許状取得のための選択科目
科目区分・・・教科及び教科の指導法に関する科目(高等学校 商業)
施行規則に定める科目区分又は事項等・・・商業の関係科目
この授業の基礎となる科目
経済史、経済学史
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(1)人物像と時代背景、思想と政策の関わりを、立体的に把握する。
(2)過去と現在の日本経済を比較考量して将来の見通しを立てるための、中長期的視野を獲得する。
【授業の概要】
 経済学は、財政政策や金融政策に代表される政策の立案を通じて、政治と関係を持つ。これは自然なことであって、このように抽象的な述べ方をするかぎり何ら問題のないことのように見える。ところが、政治が「戦争」と同義であったとしたらどうだろうか。突拍子もない話のようだが、かつての日本では、実際に政治が戦争を意味した時代があった。今から80年近く昔の、第二次世界大戦・太平洋戦争期のことである。
 総力戦という危機に直面した経済学者たちが何を考え、どう行動したか。その事例を緻密に見ていくことで、危機的局面に陥った際、いや正確には陥る前において、経済学はどのような緊張関係を保ちながら政治と交渉すればよいかが見えてくるのではないか。それはひいては、経済という一般市民の平常の営みと、政治というリーダーたちの選択との、適切な関係性を検討することにもつながるだろう。
 以上のような問題意識に立ち、日本経済のあるべき姿を考察してみたい。テキストには、2011年度の石橋湛山賞を受賞した定評ある書物を用いる。このテキストの著者は、同じ時代の政治史を経済学者による意思決定の面から分析した『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書、2018年)で2019年度の読売・吉野作造賞も受賞した、気鋭の研究者である。
【授業計画と授業の方法】
第 1回 ガイダンス/時代背景を知る
第 2回 河上肇:戦時下の経済思想の「先駆け」(1)
第 3回 河上肇:戦時下の経済思想の「先駆け」(2)
第 4回 陸海軍と経済学者(1)
第 5回 陸海軍と経済学者(2)
第 6回 陸海軍と経済学者(3)
第 7回 経済新体制をめぐって(1)
第 8回 経済新体制をめぐって(2)
第 9回 経済新体制をめぐって(3)
第10回 思想戦のなかの経済学(1)
第11回 思想戦のなかの経済学(2)
第12回 思想戦のなかの経済学(3)
第13回 「近代経済学」とは何だったのか(1)
第14回 「近代経済学」とは何だったのか(2)
第15回 「近代経済学」とは何だったのか(3)
テキスト・参考書
牧野邦昭『新版 戦時下の経済学者:経済学と総力戦』中公選書(2020年)
授業時間外の学修
適宜、指示します。また毎回、授業レジュメを作成・配布します。
成績評価の方法と基準
期末試験(70%)の結果にコメントシート(30%)の提出状況を加味して評価します。
備  考
2013年度に本学に着任した担当教員が日本経済論の最初のテキストとしたのが、牧野邦昭『戦時下の経済学者』でした。2020年に同書の改訂版が出版されましたので、この改訂版(新版)をテキストに取り上げて、日本経済論の授業を再編成したいと思っています。また、オンライン・対面を問わずTeamsで資料共有を行いながら授業を進めていきます。録画も行いますのでオンデマンドにも対応します。皆さんにとって便利なように履修してもらえばよいですが、その分しっかりと集中して毎回の授業に取り組んでください。
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容