教員名 : 林 直樹
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授業科目名
特別演習4
担当教員
木村 文則、林 直樹
開講年次
2年
単位数
2単位
学 期
2021年度後期
区分
週間授業
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【テーマ】
テキストマイニングの手法で政治・経済古典を読み解く
【授業の目的と概要】
テキストマイニングとは、土台となる文字情報(テキスト)データから、一定の文字列を特定の観点に関連付けて掘り出す(マイニング)ことにより、土台データの性質または構造を読み取る情報解析技術のことである。近年急速に人口に膾炙しており、情報学のみならず、人文社会科学分野、とりわけ歴史学の分野でも応用が進められている。
例えば、中世の某貴族Aが著した日記に登場する諸人物の関係性を、この手法を用いて調査できる。日ごとに段落を区切り、同一段落中に登場するAと他人物の組み合わせを解析したとき、人物Bが最も頻繁、次がC、最後にDとEがほぼ同等に少ない頻度といった結果が出れば、登場頻度で親密度を分類し、人物相関図を描き出すことができる。 しかしながら、この手法の精度は決して100%には達しない。なぜなら、インターネット上の連語検索と同様、あくまで文字列同士を関連付けているにすぎないからである。最後は人間自身がテキストを読み、コンテキストすなわち文脈を定性的に把握したうえで、結果の精度を検証しなければならない。そしてこの検証がフィードバックとして有効に機能することで、テキストマイニングの手法自体がさらに洗練されたものとなっていく。同時に、この手法が担保する定量的な客観性から、読み手としての人間が教えられることも多々あるだろう。 そこでこの授業では、経済古典(例:マルサス『人口論』)をテキストに特定のキーワードの出現頻度を解析したうえで、実際はどのような文脈で著者がそのワードを用いているかを、精読を通じて確認する作業を繰り返しながら、古典を読み解いていきたい。単に人間の目だけで古典を読む場合とは異なる知見が必ず得られるはずである。 【授業の到達目標】
古典の精読(古典が対象とする時代状況や専門概念をじっくり理解することが前提)による検証段階までを含め、テキストマイニングの手法を使いこなせるようになること。
テキスト
古典(広く社会科学一般)の中から、履修者と相談のうえで決定します。
2018年度と2019年度は青空文庫所収のマルサス『人口論』第六版を用いました。 参考書
適宜指示します。また、授業資料を配布します。
成績評価の基準等
課題の達成度、発表・発言の積極性など、演習への参加姿勢をみて総合的に評価します。
予習・復習へのアドバイス
2名の教員(経済系、情報系)による共同指導になります。それぞれの指導内容を自分自身の中で総合できるよう、予習と復習をしっかり行ってください。
備 考
2020年度はオンラインと対面のハイブリッドで実施しました。Teamsで資料共有を行いながら進めていきます。毎年ですが、教員にとっても新しい試みを盛り込み続けています。履修者の皆さんには、積極的に質疑をするなどして演習を盛り上げてくれることを期待します。
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