教員名 : 林 直樹
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授業科目名
基礎演習1
開講年次
1年
開講年度学期
2021年度前期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
E-CS-101S
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
(1)テキストを読みこなし、内容を的確に要約できるようになるとともに、問題を自ら発見できるようになる。
(2)プレゼンテーションやディスカッションに必要な諸技能を習得する。 【授業の概要】
数年前に「ピケティ」が話題の中心に上ったことがあった。2013年に出版された『21世紀の資本論』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティのことである。アメリカのハーバード大学出版局が世に送り出した『21世紀の資本論』は、格差拡大が続くアメリカ市民の琴線に触れて爆発的なヒットを生んだ。それから数年ののち、ピケティ旋風後に突如として打ち立てられたトランプ政権が背を向け続けた問題、すなわち環境問題が、スウェーデン出身の若き活動家グレタ・トゥーンベリの彗星のごとき登場の仕方もあって一挙に話題をさらった。そして、問題はもはや「話題」のレベルに止まらず深刻な「現実」なのだということを、私たちは認識せねばならないところまで来ている。新型コロナウイルスの蔓延で、世の関心は再び「景気」に向いつつあるが、環境=自然の変化は待ったなしなのである。
こうした中、人類の活動が地球環境を左右する時代=「人新世」の到来を告げ、警鐘を鳴らす一冊の書物が現れた。この書物は、19世紀後半に世を去ったカール・マルクスにこそ、目下進行中の問題、21世紀の最先端の課題である環境問題を打開するヒントが隠されているのだという。眉唾にも思えるこの書物のテーマに、しかし何か惹かれるものがあることも事実だ。読んでみなければならない、そしてできれば、学問の入口において読んでおきたい書物であろう。 【授業計画と授業の方法】
第 1回 ガイダンス/はじめに:SDGsは「大衆のアヘン」である!
第 2回 第一章 気候変動と帝国的生活様式(1) 第 3回 第一章 気候変動と帝国的生活様式(2) 第 4回 第二章 気候ケインズ主義の限界(1) 第 5回 第二章 気候ケインズ主義の限界(2) 第 6回 第三章 資本主義システムでの脱成長を撃つ 第 7回 第四章 「人新世」のマルクス(1) 第 8回 第四章 「人新世」のマルクス(2) 第 9回 第五章 加速主義という現実逃避 第10回 第六章 欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム(1) 第11回 第六章 欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム(2) 第12回 第七章 脱成長コミュニズムが世界を救う(1) 第13回 第七章 脱成長コミュニズムが世界を救う(2) 第14回 第八章 気候正義という「梃子」 第15回 おわりに:歴史を終わらせないために テキスト・参考書
斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社新書(2020年)
授業時間外の学修
適宜、指示します。
成績評価の方法と基準
毎回の授業に対する準備、参加意欲、発言の積極性等を総合的に判断して評価します。
備 考
ディスカッションやプレゼンテーションの場では、単なる「レポート」(状況報告)にならないように、論点や疑問点を積極的に提示するよう心がけてください。なお、対面実施こそがふさわしい「ゼミ形式」の授業ですが、やむを得ない場合にはTeamsによるオンラインで実施します。その場合もなるべく対面の雰囲気を維持できるように努めますので、皆さんもご協力をお願いします。
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容
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