教員名 : 林 直樹
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授業科目名
専門演習1a
担当教員
林 直樹
開講年次
3年
単位数
2.00単位
学 期
2020年度前期
区分
週間授業
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
【テーマ】
歴史、特に思想史を通じて現代の経済社会を再考する
【授業の目的と概要】
経済学と社会思想は密接に関係している。後者の中に前者が埋め込まれていると表現してもよい。しかし両者は同じものではない。なぜなら、後者が多様な価値判断(「べき」論)を明示的に扱うのに対して、前者は特定の「べき」を暗黙の前提にした「である」論を扱うからである。まず、この区別を押さえてほしい。
担当教員は経済学史と社会思想史を専門としている。前者は経済学説の形成過程を追うが、これは、価値判断を排した純理論的な概念構成を把握していくことを目的とする。それに対して後者が取り上げるのは、経済学説が前提としている価値判断そのものの形成過程と、その妥当性である。両者の区別がいかに重要かは、経済と社会の両立という課題に鋭敏な感性で臨んだ「経済学の父」アダム・スミスについて研究するだけでも、よく分かるだろう。スミスは『国富論』で経済理論を体系的に示しただけでなく、市場経済を支える倫理とその限界を追究した『道徳感情論』を著しており、しかも彼自身としては後者を前者以上に高く評価していたという、同時代人の証言がある。 演習では、過去を学ぶことを通して経済と社会の関係性を掘り下げ、現代の経済社会の動向を深く見通す目を培うことを目指す。 【授業の到達目標】
輪読書の分担報告をこなしながら論理的な思考力を鍛え、レポートとは異なる「論文」執筆の前提条件を整える。
テキスト
メンバーの関心に応じて複数の書籍を読み進めていきます。
2019年度はフィリップソン『アダム・スミスとその時代』およびソール『帳簿の世界史』を読み終えました。 参考書
成績評価の基準等
参加意欲、発表の水準、陰ながらの努力等を総合的に判断して評価します。
予習・復習へのアドバイス
広く、そしてここぞという所では深く読書してください。「読書が人を造る」(小泉信三『読書論』)という言葉の含蓄に思いを馳せてほしいと思います。
備 考
報告者は、その時その場の主役です。主役を全うできるよう、報告準備は入念に、責任感を持って行ってください。
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