シラバス情報

授業科目名
文化財保存学概論
開講年次
1年
開講年度学期
2019年度前期
単位数
2単位
科目ナンバリング
A-RC-101L
担当教員名
増澤 文武
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
理科系授業(受講経験が無くても良い)
次に履修が望まれる科目
【授業の目的と到達目標】
有形文化財の基本的概念を掴み、それらを自然科学・技術的立場から保存継承する基礎的理念を身につけ、文化財に対峙し保存継承し活用する基本的概念を得ることを到達目標とする。文化財に関わる調査・研究の際、人文科学のみならず、自然科学的調査・分析・研究の実例を通してその必要性を学ぶ。その上で活用事例を通して貴重な文化財を保存継承しつつ文化財を活用する基礎概念を身につける。
【授業の概要】
 文化財の保存継承を、概念と具体的事例から総合的に学び、かつ現代の活用事例を示す。
 文化財とは何かを文化財保護法、世界文化遺産の登録基準から学ぶ。文化財の保管・展示の際の適切な保存環境を学ぶ。保存環境だけでは保存継承できない文化財の修復事例を取り上げ、その必要性と修復方法を学ぶ。その際、文化財といえども自然科学的・工学的手法が如何に必要かを考える。また、これら保存修復が単に文化財の修復に止まらず、大きな発見とあらゆる学問への寄与があることを学ぶ。これらについて画像(Power Point)を用いディスカッションを交え、かつ博物館相当施設の展示場とバックヤードを見学し、より具体的な知識を身に付ける。
【授業計画と授業の方法】
第 1回 授業のガイダンス:文化財の概念
第 2回 文化財保護法における文化財の広がり
第 3回 世界文化遺産の登録基準:オーセンティシティーとは何か? 
第 4回 保存科学の概念と文化財保存環境学(1):温湿度・光・大気汚染
第 5回 文化財保存環境学(2):室内汚染、生物劣化(IPM(総合的有害生物管理)を含む)
第 6回 文化財保存環境学(3):IPMの事例、博物館相当施設と環境
第 7回 博物館相当施設のバックヤード見学(舞台裏での文化財保存・継承の場を見聞)
第 8回 博物館相当施設の展示・展示環境見学
第 9回 文化財の保存継承と修復技術(文化財保存の倫理を含む)
第10回 木材と金属の特性と出土木製遺物・金属製遺物の保存処理・修復
第11回 土器の復元と油画の修復
第12回 被災文化財の救援とその後の対応
第13回 出土有形民俗文化財(美術工芸品を含む)の保存修復中に得られた知見と学際的波及効果
第14回 文化財保存継承のための歴史事例
第15回 現代社会における文化財保存の動きと活用展開(複製・復元品を含む)
テキスト・参考書
教科書は使用せず、プリント配布
授業時間外の学修
京都造形芸術大学編 『文化財のための保存科学入門』 第4版(2008) 角川学芸出版
三浦定俊他著 『文化財保存環境学』(2004)朝倉書店
石崎武志編著 『博物館資料保存論』(2012)講談社
藤原工『学芸員のための展示照明ハンドブック』(2014)講談社
成績評価の方法と基準
授業中の質問や回答など(30点)、60%以上の出席者への課題レポート(70点)により評価
備  考
その日の講義の復習を行い、翌日質問や意見、感想を述べて欲しい。
担当教員の実務経験の有無
実務経験の具体的内容
文化財の修復と保存環境を含む保存継承に携わっていた教員による授業