シラバス情報

授業科目名
社会思想史
開講年次
1年
開講年度学期
2019年度前期
単位数
2.00単位
科目ナンバリング
G-SS-122L
担当教員名
林 直樹
担当形態
単独
【科目の位置付け】
この授業の基礎となる科目
次に履修が望まれる科目
経済史、経済学史
【授業の目的と到達目標】
(1)近代啓蒙思想を、哲学、宗教学、法学、政治学、経済学、さらにはメディア論の諸見地から総合的に把握する。
(2)思想の発展と深化の歴史を理解し、近代社会との比較に基づいて現代社会とはどのような社会かを考察する。
【授業の概要】
 社会思想史とは、ヨーロッパ起源の「近代社会」を支える世界観について、歴史的見地から考察する学問である。
 近代思想の中心には啓蒙思想がある。イングランドのジョン・ロック、スコットランドのデイヴィッド・ヒューム、ドイツ(プロイセン)のイマヌエル・カントがその中心人物と目されるが、そこに、20世紀の経済学者J・M・ケインズが高く評価したバーナード・マンデヴィル、「経済学の父」アダム・スミス、『寛容論』の著者ヴォルテールなどの名だたる思想家を次々に加えてなお語り尽くせないほどに、啓蒙の世界観は奥深く、また、懐の広いものである。この21世紀において啓蒙は「依然として問題である」と唱える哲学者や歴史家も少なくなく、啓蒙はいわば、現代思想のインスピレーションの源泉として引き続き注目を浴び続けている、思想界の大御所のような存在にさえ見える。
 この授業では、啓蒙研究の第一人者と呼べるケンブリッジ大学教授ロバートソンの著書をテキストとして、啓蒙思想の豊かさと、同時にその限界について考察する。啓蒙研究の昨今の隆盛にもかかわらず、ロバートソンは啓蒙を過度に今日的なものとして眺めることに、むしろ批判的である。それは何故かについても、この授業を通じて考えてみたい。
【授業計画と授業の方法】
第 1回 ガイダンス
第 2回 啓蒙:同時代の定義
第 3回 啓蒙:歴史的再構成
第 4回 宗教との関わり:17世紀における自然宗教と啓示宗教の探求
第 5回 宗教との関わり:初期啓蒙
第 6回 宗教との関わり:寛容の擁護論
第 7回 境遇の改善:道徳哲学と社交性
第 8回 境遇の改善:ルソー
第 9回 境遇の改善:経済学
第10回 公衆を啓蒙する:公共圏
第11回 公衆を啓蒙する:印刷文化
第12回 公衆を啓蒙する:啓蒙と政府
第13回 哲学と歴史の中の啓蒙:哲学者の啓蒙
第14回 哲学と歴史の中の啓蒙:歴史家の応答
第15回 まとめ
テキスト・参考書
ジョン・ロバートソン『啓蒙とはなにか:忘却された〈光〉の哲学』白水社(2019年)
授業時間外の学修
適宜指示する。
成績評価の方法と基準
期末試験(70%)の結果に、コメントシート(30%)の提出状況を加味して評価する。 
備  考
要点を押さえたノート・テイキングを心がけること。復習は必要、できれば予習も行ってください。
担当教員の実務経験の有無
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実務経験の具体的内容